2026年1月13日、韓国の尹錫悦前大統領に対する内乱首謀罪裁判で、検察が死刑を求刑したことが大きな話題となっています。
この裁判は、2024年12月に尹前大統領が宣布した非常戒厳を巡るもので、現職前大統領への死刑求刑という極めて異例の事態に、韓国内外から注目が集まっています。
論告求刑公判は朝9時半から夜遅くまで続き、判決は2月に言い渡される予定です。
内乱首謀罪とは何か、なぜ死刑求刑なのか
尹錫悦前大統領が問われている内乱首謀罪は、韓国刑法における最も重大な犯罪の一つです。
この罪の法定刑は死刑か無期懲役・無期禁錮のみという極めて厳しい内容で、中間的な量刑が存在しません。
検察は、尹前大統領が宣布した戒厳令が憲法上の要件を満たしておらず、国会の解除決議を阻止するために軍や警察を投入したと主張しています。
特に、国会議員の議事堂への立ち入りを物理的に妨害したことが、民主主義の根幹を揺るがす行為として重視されました。
検察側は「憲法秩序を暴力的に破壊しようとした」として、最も重い刑罰である死刑を求刑するに至ったのです。
光州事件との歴史的符合
今回の裁判には歴史的な重みがあります。
この裁判は、1980年の光州事件で内乱首謀罪に問われた全斗煥元大統領と同じ法廷で扱われているのです。
光州事件は、軍事クーデターと民主化運動の弾圧を巡る韓国現代史の重要な転換点でした。
全斗煥元大統領も当時、死刑判決を受けましたが、後に特赦により減刑されています。
同じ法廷で再び前大統領が内乱首謀罪で裁かれるという事実は、韓国社会における政治的対立の深刻さを象徴しています。
異例の延期と長時間審理
当初、この裁判は1月9日に結審する予定でした。
しかし、弁護団による証拠調べが長時間に及んだため、異例の延期となりました。
1月13日の論告求刑公判も朝から夜遅くまで続く長時間審理となり、事件の複雑さと重大性を物語っています。
弁護側は、尹前大統領の戒厳令宣布は大統領の正当な権限行使であり、無罪を主張しています。
憲法上、大統領には非常事態における戒厳令宣布権があり、当時の政治状況がそれを必要としたとの立場です。
死刑執行の実効性と今後の展望
韓国では1997年以降、死刑執行が行われていません。
そのため、仮に死刑判決が出たとしても、実際に執行される可能性は極めて低いと見られています。
しかし、死刑判決そのものが持つ政治的・社会的インパクトは計り知れません。
判決は2026年2月に言い渡される見通しで、韓国の政治情勢に大きな影響を与えることは確実です。
この裁判の行方は、韓国における民主主義と法の支配、そして政治的和解の可能性を占う試金石となるでしょう。
国内外の注目と政治的影響
現職前大統領への死刑求刑という事態は、韓国の民主主義の成熟度を測る重要な指標として国際社会からも注目されています。
韓国国内では、尹前大統領を支持する保守派と、厳正な処罰を求める進歩派の間で意見が真っ二つに割れています。
この裁判の結果次第では、韓国の政治的分断がさらに深まる可能性もあります。
一方で、法の支配が政治的地位に関わらず平等に適用されるという原則を示す機会にもなり得ます。
2月の判決は、韓国の今後の政治的方向性を決定づける歴史的瞬間となるでしょう。
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